デイサービスってどんな仕事をするんだろう?
介護の仕事に興味を持ち始めたとき、私もこの疑問を抱いていました。10年前、母が要介護になったことをきっかけに、デイサービスの存在を知り、その後自分自身もこの世界に飛び込みました。
デイサービスは、お年寄りが「住み慣れた我が家で暮らし続けたい」という願いを支える、日帰り型の介護サービスです。そこで本記事では、現場での経験を交えながら、デイサービスの仕事内容をまとめました。
デイサービスとは?

デイサービスとは、お年寄りの「日中の生活をサポートする実家」のようなものです。
デイサービスは、要介護認定を受けた高齢者が朝から夕方まで過ごす通所介護施設です。私が勤める施設では、平均して20名ほどの利用者さんが毎日通ってきます。
デイサービスの特徴
私が以前、特別養護老人ホームから転職してきたとき、最も印象的だったのは「毎日同じ顔ぶれではない」ことでした。月曜は元気なAさんグループ、火曜は認知症のケアが必要なBさんグループ、というように日によって利用者さんが変わります。
また、家族の介護負担軽減という役割も大きいです。先週も、「母をお願いしている間に、久しぶりに美容院に行けました」と笑顔で話すご家族を見て、この仕事の意義を実感しました。
他の介護施設(特養・老健・有料老人ホーム)との違い
介護の現場で10年以上働いていると、「どの施設が違うの?」という質問をよく受けます。それぞれの違いをまとめました。
1. 特別養護老人ホーム(特養)との違い
特養は「終の棲家」のような存在です。私の前職の特養では、平均要介護度4の方々が24時間体制で介護を受けながら生活していました。
一方、デイサービスは「実家に日帰り」するようなもの。朝、送迎車でお迎えに行き、夕方にはご自宅にお送りします。ある利用者さんは「自分の家の布団で寝られるのが一番」とよく話していました。その言葉を聞くたび、在宅生活を支えるデイサービスの価値を感じます。
2. 介護老人保健施設(老健)との違い
老健は「リハビリ合宿所」のようなイメージです。友人が老健で働いていますが、彼女によれば「退院後、すぐに自宅に戻るのは難しいけれど、リハビリで改善が見込める方」が多いそうです。
デイサービスでもリハビリは行いますが、集中的ではありません。私のいる施設では、午前と午後に各20分程度の機能訓練を提供していますが、あくまで維持が目的です。入所ではなく通所という形態が、最大の違いですね。
3. 有料老人ホームとの違い
有料老人ホームは「高級マンション」のような存在です。昨年見学に行った施設では、レストランのようなダイニングや、温泉風のお風呂があり、驚きました。
デイサービスはそこまで豪華ではありませんが、「日中だけのサポート」で、夜は自宅に帰ります。
ある意味、有料老人ホームの「日帰り版」とも言えるかもしれません。料金面でも大きな差があり、経済的な負担が少ないのがデイサービスの特徴です。
デイサービスの1日の流れ【具体例】
私が勤務する東京都内のデイサービスでの一日を紹介します。
時間 | 活動内容 | 詳細 |
---|---|---|
8:00~9:00 | 朝の準備と利用者の送迎 | スタッフは利用者を迎える準備を整え、送迎スタッフが利用者の自宅へ向かいます。到着後は、体調確認や必要なサポートをしながら施設へ移動します。 |
9:00~10:00 | 健康チェック・バイタル測定 | 施設に到着した利用者は、まず看護師や介護士による健康チェックを受けます。血圧・脈拍・体温測定などを行い、体調に変化がないか確認します。 |
10:00~12:00 | 午前の活動(入浴・レクリエーション・機能訓練) | 利用者の状態に応じて、入浴介助やリハビリ、レクリエーション活動を行います。入浴はスタッフのサポートのもと、個別または小グループで進められます。また、軽い体操やゲームなどのレクリエーションを通じて、体を動かしたり交流を深めたりする時間を設けます。 |
12:00~13:00 | 昼食・食事介助 | 利用者には施設で提供される食事が用意されます。自力で食事が難しい方には、介護士が食事介助を行います。栄養バランスの取れた食事を提供し、利用者の健康維持をサポートします。 |
13:00~14:00 | 休憩・自由時間 | 昼食後は、リクライニングチェアや畳スペースでくつろいだり、他の利用者と談話を楽しんだりする時間です。短時間の仮眠を取る利用者もいます。 |
14:00~15:30 | 午後の活動(リハビリ・レクリエーション) | 午後は、午前に続きリハビリやレクリエーションが行われます。機能訓練指導員が担当するリハビリでは、歩行訓練やストレッチなどが実施されます。レクリエーションでは、カラオケ、手芸、脳トレゲームなど、利用者が楽しめるプログラムが提供されます。 |
15:30~16:00 | おやつの時間 | 利用者はお茶やお菓子を楽しみながらリラックスし、談笑をする時間を過ごします。この時間も、利用者同士の交流を深める大切な時間です。 |
16:00~17:00 | 帰りの準備と送迎 | 利用者が帰宅の準備を整え、送迎スタッフが順番に自宅まで送り届けます。送迎時には、利用者の体調や施設での様子を家族に伝えることも重要な業務の一つです。 |
17:00~17:30 | 終業業務(片付け・記録作成) | 利用者が帰った後、スタッフは施設内の清掃や片付けを行います。また、その日の利用者の様子を記録し、翌日の業務に備えます。 |
デイサービスの仕事で大変なポイント

介護の仕事には喜びもありますが、正直に言って大変なことも多いです。私自身、何度か「続けられるかな」と悩んだこともありました。
1. 体力的な負担が大きい
先日も、車椅子からトイレへの移乗介助をした後、腰に痛みを感じました。特に入浴介助は腰への負担が大きいです。同僚の中には、ヘルニアになってしまった人もいます。
私は5年前から、腰痛予防のためのボディメカニクス(正しい姿勢や動作)を意識するようになり、施設でも定期的に研修を行っています。また、最近は介護リフトなどの機器も導入され、少しずつ負担は減ってきていると感じます。
2. 利用者や家族とのコミュニケーションが難しい
「もっと外に連れ出してほしい」「食事の量が少ない」など、ご家族からの要望に応えきれないこともあります。また、認知症の方への対応も難しい場面があります。
先月は、突然「財布がない!あなたが盗ったのでしょう!」と興奮された利用者さんがいました。その場は落ち着いて対応し、後で財布が見つかりましたが、こうした誤解を受けることもあります。
私の場合、定期的にストレス発散(趣味の料理や友人との食事)の時間を作り、メンタルケアを心がけています。職場の仲間と愚痴を言い合える関係性も、続ける秘訣かもしれません。
3. 予想外のトラブルが発生することがある
計画通りに進まないことは日常茶飯事です。先週も、送迎中に利用者さんが体調不良を訴え、急遽病院に寄ることになりました。その結果、他の利用者さんのお迎えが遅れ、プログラムも変更せざるを得ませんでした。
こうした臨機応変な対応力は、経験を積むことでしか身につきません。私も最初の頃は焦ってばかりでしたが、今では「何が起きても対応できる」という自信がついてきました。

まとめ
デイサービスは、利用者さんが「住み慣れた家で暮らし続けたい」という願いを支える大切な場所です。私が7年間この仕事を続けてこられたのは、利用者さんの「ありがとう」という言葉や、家族の方の安心した表情を見るたびに、この仕事の意義を実感できるからだと思います。
確かに体力的にきついことや、対応が難しい場面もあります。でも、工夫次第で負担を減らすことができますし、何より「人の役に立っている」という充実感は他の仕事ではなかなか味わえないものです。
「介護に興味はあるけれど、ハードルが高そう…」と感じている方、ぜひ一度、デイサービスの見学や体験をしてみてください。きっと、あなたの力を必要としている場所が見つかるはずです。