「もしかして虐待かも」と感じながらも、「通報したことがバレたらどうしよう」と悩んでいませんか?目の前にいる子どもの異変に気づいたとしても、通報者が誰かを知られてしまうことへの不安が大きすぎて、なかなか行動に移せない――そんな状況にある人は少なくありません。
そこで本記事では、通報者の情報がどのように扱われるのか、どんなケースでバレる可能性があるのか、そしてトラブルを避けるためにできる工夫について、制度と実際の運用の両面から分かりやすく解説していきます。
このページでわかること
- 児童相談所への通報の仕組みと、通報者の情報がどう扱われるか
- 通報者の情報が相手に伝わる可能性があるケースとその理由
- 匿名通報と実名通報の違い、メリット・デメリット
児童相談所の通報の流れと通報者情報の扱い

児童相談所への通報は、思い立ったその瞬間にでも行えるものです。
ただし、その一歩を踏み出す前に、通報の仕組みや通報者の情報の扱いについて基本を知っておくことで、不要な不安を軽減できます。
通報が「子どもの命や安全を守るための大切な行動」である一方で、通報する側にとっても心理的・社会的な影響があるため、制度の基本構造を知ることはとても重要です。
児童相談所への通報・相談の仕組み
児童相談所への通報・相談は、電話・メール・来所など複数の手段で行うことができます。どの方法を選んだとしても、子どもを守ることを最優先に対応してもらえるのが原則です。
- 全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」
↳通話無料・24時間対応。最寄りの児童相談所へ自動転送される - 各自治体の児童相談窓口
↳市区町村の福祉課や子育て支援課などが窓口となることが多い - 学校や保育施設などを通じた通報
↳担任や保育士など、子どもと関わる大人が相談を受けた場合に通報するケース
通報の際は、できる範囲で以下のような情報を伝えると、相談員が状況を正確に把握しやすくなります。

- 通報者自身の連絡先(匿名でも可能)
- 対象の子どもの名前、年齢、住所など
- 虐待が疑われる内容(いつ・どこで・どんな様子だったか)
必ずしもすべてを把握していなくても、気づいた点を伝えるだけで相談は成立します。通報=即介入ではなく、まずは事実確認や聞き取りが行われる流れです。
通報者の名前や住所はどう扱われる?
通報者の情報は、児童相談所にとって極めて重要な個人情報であり、法律上も強く守られる対象です。「児童福祉法」「個人情報保護法」などの規定により、通報者の情報は原則として外部に漏れることはありません。
相談員や調査員は以下のような運用に基づいて対応します。
- 通報者の氏名や住所は、相手(保護者など)に伝えない
- 聞き取りの内容も「どこからの情報か」を推測されにくいよう配慮して伝える
- 書類や記録にも、通報者の名前は限定的にしか記載しない
通報者が安心して話せるよう、守秘義務を徹底することが現場の基本姿勢です。もちろん、担当者の個人的な判断で情報が漏れるようなことは許されていません。
ただし、後述するようにごく一部の例外的なケースでは、通報者の存在が推測される可能性もゼロではありません。そうしたリスクが不安な場合は、相談の際に「匿名にしたい」「身元を伏せてほしい」とはっきり伝えることが大切です。
匿名通報と実名通報の違いとそれぞれのメリット・デメリット
通報には「匿名」と「実名」の2つの方法があります。それぞれの特徴を知っておくことで、自分に合った方法を選ぶ判断材料になります。
| 通報の種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 匿名通報 | ・身元が知られにくい ・心理的なハードルが低い | ・追加の連絡が取りづらい ・情報が不十分だと調査に限界 |
| 実名通報 | ・追加情報を求められたとき対応しやすい ・調査の信頼性が高くなることも | ・身元が内部で記録される ・不安が強い人には精神的負担が大きい |
実名通報をしたからといって、自動的に相手に伝わるわけではありません。
ただ、内部記録として残るため、心理的なハードルは高くなりがちです。いずれの方法でも、通報自体が虐待の早期発見につながる可能性があるため、「完璧に話せなくてもまずは相談する」ことを大切にしてください。

児童相談所への通報は本当にバレるのか?

児童相談所に通報したいけれど、「相手にバレたらどうしよう」とためらっている人は多くいます。
制度としては通報者の匿名性は原則守られていますが、実際の運用や周囲の状況によっては通報者が特定されることもあります。
原則として通報者は守られる|相手に情報が伝わらない運用とは
児童相談所への通報は、制度上「通報者の情報を保護する」ことが前提です。通報者の氏名や住所が、保護者や家庭に伝わることは原則としてありません。これは児童福祉法および個人情報保護法により、厳格に管理される運用になっています。
児童相談所での通報情報の取り扱いを以下にまとめました。
| 取り扱い項目 | 対応内容 |
|---|---|
| 通報者の氏名・住所 | 保護者など相手側には原則非開示 |
| 通報内容 | 出所が推測されないよう配慮して伝達 |
| 内部記録への記載 | 必要最小限の情報として管理される |
このように、通報者が安心して声をあげられる体制は法的にも整備されています。ただし、「匿名で通報したい」「名前が相手に知られないようにしてほしい」という意思表示を自分から伝えることも大切です。
通報者が特定されやすい状況と逆恨みリスクを減らすポイント
制度があっても、現実の人間関係の中では「誰が通報したか」が推測されてしまう場面もあります。とくに狭い地域社会や、通報内容が非常に詳細な場合には注意が必要です。
通報者が特定されやすくなる主なパターンは以下の通りです。
- 内容が具体的すぎて、当事者が心当たりを持ちやすい
- 通報できる立場の人間が限られている(近所・関係者など)
- 通報後に態度や接し方に変化があり、不自然に見える
これを防ぐには、「自分しか知らない情報」をあえて省略する、「通報した後も普段通りに接する」などの意識が重要です。また、周囲に「通報した」と話さない、SNSでの言及を控えるなど、情報管理にも注意を払いましょう。
虚偽通報・悪意ある通報のリスクと法的な注意点
通報はあくまで「子どもが危険な状況にある」と感じたときに行うべきものであり、通報内容が事実かどうかは、最終的に児童相談所が確認する役割を担います。疑わしいと感じた段階での通報も制度上は認められています。
一方で、明らかに悪意があり、事実に基づかない通報を行った場合には、法的責任が発生するリスクがあります。以下は通報の性質とその法的リスクを整理した表です。
| 通報の性質 | 法的なリスク |
|---|---|
| 善意の通報(誤解含む) | 基本的に責任は問われない |
| 事実に基づかない噂や推測 | 名誉毀損・業務妨害の対象となる可能性あり |
| 嫌がらせ・仕返し目的の通報 | 民事・刑事の責任を問われる可能性が高い |
通報は「子どものため」という前提に立って行動することが大切です。
不安がある場合でも、できるだけ客観的な事実に基づき、分からないことは「分からない」と伝えることで、誤解やトラブルを避けることにつながります。


