子どもが一時保護となると、不安と戸惑いで頭が真っ白になりがちです。「いつ戻れるのか」「自分は何をすべきか」が見えないままだと、焦りばかりが募ります。
この記事は、初めて制度に向き合う保護者のために、一時保護の目的から解除までの道筋をやさしく整理しました。何から着手すればよいか、行政とのやり取りをどう進めるか、具体的な行動の順序を明確にし、安心して動き出せる状態を目指します。
制度は地域や事案ごとに運用が異なる場合がありますが、基本となる考え方と実務の流れを押さえれば、次の一歩が見えてきます。
このページでわかること
- 一時保護の法的根拠と目的(なぜ保護が行われるのか)
- 解除の判断で重視される要素(安全性、家庭環境、保護者の対応姿勢など)
- 解除に向けて保護者が進める手順(面談、家庭訪問、環境の整え方)
- 子どもの意思・心理状態の捉え方と専門職の関わり
児童相談所による一時保護とは

一時保護は、子どもの安全をただちに確保するための一時的な措置です。
親を罰するための制度ではなく、危険が差し迫る、または危険のおそれが強い場面で、落ち着いた環境で状況を整理し、今後の支援方針を整えることを目的に実施されます。期間は必要最小限で、原則2か月以内が上限とされています。
一時保護の法的根拠と目的
一時保護は児童福祉法第33条に根拠があります。「虐待のおそれがある」「少年法上の手続きが進んでいる」など、開始の根拠が条文上で明確化されています。
目的は、子どもの安全確保と状況の把握を短期間で行い、適切な支援へつなぐことです。
- 安全の確保
↳直近の危険やおそれから子どもを離し、安定した環境を確保 - 状況の把握と評価
↳家庭・学校などの情報を集め、支援の方向性を見立てる - 子どもの意向の尊重
↳年齢や発達に応じた方法で意見を聴く - 必要最小限の期間での実施
↳原則2か月以内を目安に短期で終える運用

一時保護の開始とその基準
開始の判断は、危険の有無や程度、保護後の見通しを総合的に評価して行われます。主なきっかけと確認の観点を整理します。
開始のきっかけ | 具体例 | 確認の観点 |
---|---|---|
虐待のおそれ | 身体・心理・性的・ネグレクトの疑い | 安全が脅かされていないか、再発の可能性、保護者の対応 |
少年法の手続きが進行 | 関係機関からの情報連絡、緊急避難が必要な事案 | 一時的に生活の場を分ける必要性、代替の居場所の確保 |
その他、差し迫った危険 | 家出・自傷他害のおそれ、同居人からの暴力 など | 直近のリスク、本人の心身状態、保護後の支援体制 |
親への通知と初期対応
一時保護が行われると、原則として保護者へ連絡があります。ただし、子どもの安全に重大な支障が見込まれる場合は、居場所の通知が見合わせられることもあります。
- 連絡窓口を一本化する
↳担当者名と連絡手段を確認し、やり取りは記録する - 事実関係を落ち着いて整理
↳起点となった出来事や家庭の状況を時系列でまとめる - 面談・家庭訪問の日程調整に応じる
↳同席者や確認事項を事前に確認 - 必要書類の準備
↳診断書、学校からの連絡、家族構成や生活状況が分かる資料など - 支援先とつながる
↳地域の相談機関、医療・心理支援、弁護士相談の活用を検討
無断で保護の場へ赴く、担当外の部署へ繰り返し連絡する、といった行動は話し合いを複雑にしがちです。記録をとりながら、担当者と計画的にやり取りを進めましょう。
一時保護の解除条件と判断基準

解除の可否は、子どもの安全が確保できるか、家庭で安心して暮らせる見通しがあるかを中心に、多面的に評価されます。
判断は一つの要素だけで決まるものではなく、家庭環境の改善状況、保護者の姿勢、子どもの意思と心理状態、支援体制の整い具合などを総合して検討されます。
解除の判断で重視されるポイント
解除の際に見られやすい観点を整理しました。どの観点も「継続性」が鍵になります。
観点 | 見る内容 | 確認の例 |
---|---|---|
安全の確保 | 危険要因の除去・距離の確保 | 加害行為の停止、同居人の分離、家の施錠・連絡手段の整備 |
養育環境の安定 | 生活リズム・住環境・家計の安定 | 起床就寝時刻、食事・通学の確保、住居契約や家計の見通し |
保護者の姿勢 | 面談への協力・約束の履行 | 面会ルールの順守、支援機関との連携、記録の提出 |
子どもの意思と状態 | 帰宅希望の有無・不安やストレスの程度 | 心理面接の結果、学校での様子、睡眠・食欲の変化 |
支援体制の継続性 | 見守りの仕組み・フォロー計画 | 定期訪問の設定、通院・通所、学校・地域との連携表 |

家庭環境の改善が求められる理由
一時保護は、危険から離すための緊急措置です。元の生活に戻るには、同じ状況が再び起きないように、家庭の土台を立て直す必要があります。
たとえば、暴力や言い争いが絶えなかった場合は、関係性の調整や外部の支援につながることが求められます。生活が不安定で子どもの基本的なニーズ(食事・睡眠・通学など)が満たされなかった場合は、家計や住まい、家事の分担、通院・通所の導線まで含めて整えます。
改善は「書面上の約束」だけでは足りず、日常の行動として続いているかが見られます。
子どもの意思と心理状態の確認
子どもの声は、解除の判断に大きな影響を与えます。年齢や発達段階に応じた方法で意思を確かめ、心理状態を丁寧に見立てます。
- 帰宅への気持ち
↳家に戻りたいか、どんな不安があるか - 安心できる条件
↳誰と、どのように過ごせれば安心か(時間帯・場所・約束ごと) - 心身のコンディション
↳睡眠・食欲・学校での様子、身体症状の有無 - 信頼できる大人とのつながり
↳親以外に頼れる人や場所があるか - 再発時の相談ルート
↳困ったときに連絡できる先(学校、相談機関、親族など)
まとめ|一時保護解除の条件を正しく理解し前向きな対応を
一時保護は、子どもの安全を守るための短期的な措置であり、親を裁くための制度ではありません。
この記事では、その法的根拠と目的、開始の基準、通知後に取るべき初期対応を整理しました。さらに、解除の判断では安全の確保、家庭環境の安定、保護者の姿勢、子どもの意思と心理状態、継続的な支援体制といった観点が重ねて見られることを説明しました。
親ができる実践として、連絡と記録の整備、面談での合意事項の確認、家庭訪問への協力、地域・医療・学校・民間団体との連携づくり、必要に応じた弁護士への相談が有効であることも押さえました。
実際に動くときは、まず担当窓口と連絡手段を確定し、事実関係を時系列でまとめ、面談や訪問の準備物を整えることから始めましょう。住環境の危険を減らす手入れや、生活リズム・家事分担・通院や通所の計画を可視化して示すことが、安心して暮らせる見通しの根拠になります。