「介護福祉士の資格を取ったけど、次は何を目指せばいいんだろう?」私がこの疑問を抱いたのは、介護福祉士として3年目を迎えた頃でした。
利用者さんとの関わりにやりがいを感じながらも、「もっと専門的なケアができるようになりたい」「将来的には管理職を目指したい」という思いが芽生え始めていたんです。
そこで本記事では私自身の経験と、様々なキャリアを歩んできた先輩たちの声を交えながら、介護福祉士から広がる資格の世界をご紹介します。
【属性別】介護福祉取得者におすすめの資格

介護福祉士の資格を持っていると、さまざまな関連資格を取得しやすくなります。これらの資格を取得することで、スキルアップやキャリアアップが可能になり、より専門的な知識や技術を身につけることができます。
1. 介護の専門性を高めたい人向け
- 認知症介護実践者研修・指導者研修
- 認知症ケアの専門スキルを身につけることで、より質の高い介護が可能になります。
- 福祉用具専門相談員
- 福祉用具の選定や使用方法のアドバイスができるようになり、利用者の自立支援に貢献できます。
研修は約50時間と比較的短期間で取得できるのが魅力です。友人は「介護の経験があったからこそ、どんな用具が実際の現場で役立つかイメージしやすかった」と言っていました。

2. 収入アップ・キャリアアップを目指す人向け
- ケアマネージャー(介護支援専門員)
- 介護計画を作成し、ケアのコーディネートを行う仕事。責任が増える分、給与アップが期待できます。
- 社会福祉士
- 福祉の幅広い知識を持ち、相談援助業務にも関わることができる国家資格。キャリアの選択肢が広がります。
社会福祉士は、受験資格を得るために養成施設への入学や通信教育の受講が必要ですが、介護福祉士の資格があると一部科目が免除されるケースもあります。
3. 施設運営や管理職を目指す人向け
- サービス提供責任者(サ責)
- 訪問介護事業所で重要な役割を果たし、チームをまとめる立場になるため、管理職へのステップアップにつながります。
- 医療的ケア教員講習会
- 介護福祉士に対して、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを指導できる資格。教育者としての道も開けます。
これらの資格は、基本給に加えて「サ責手当」が付くことが多く、月に2~3万円ほど収入アップにつながった先輩もいます。介護の知識を活かしながらマネジメントスキルも身につけられる、管理職への第一歩と言えるでしょう。
4. 独立・開業を考えている人向け
- 介護事業経営に関する資格(介護事業経営管理者研修など)
- 介護施設や訪問介護事業を立ち上げる際に必要な経営スキルを学ぶことができます。
- 福祉住環境コーディネーター
- 住宅改修のアドバイスができるようになり、介護リフォーム業界への進出も可能に。
最近は「介護福祉経営士」などの資格も注目されており、専門的な経営知識を学べます。将来独立を考えている方は、まず法人で管理職経験を積みながら、こうした研修や資格取得を目指すのがおすすめです。
介護福祉士を持っていると取れる資格/研修

- 認定介護福祉士
- ファーストステップ研修
- ケアマネージャー(介護支援専門員)
それぞれの特徴や取得方法について詳しく解説します。
認定介護福祉士

「キャリアの集大成」と言われるこの資格。私の尊敬する先輩がようやく取得した時は、職場でお祝い会を開きました。
認定介護福祉士は2015年にスタートした介護福祉士のステップアップのための民間資格です。介護現場のリーダーとして必要な高度な知識とスキルを証明する資格として位置づけられています。
取得には「認定介護福祉士養成研修I類」と「認定介護福祉士養成研修II類」の両方を修了する必要があり、取得までに約2年かかります。容易には取得できませんが、その分専門性が高く評価される資格です。
認定介護福祉士養成研修I類を受講するための条件
- 介護福祉士として5年以上の実務経験がある
- 介護職員向け現任研修などの受講時間が合計100時間以上ある
- 研修実施団体が出すレポート課題または試験で基準点以上の成績を収める
これらに加えて、ユニットリーダーなど小規模チームのリーダー経験があると望ましいとされています。施設系と居宅系の両方での経験があるとさらに良いとされており、高いレベルの資格であることがわかります。
認定介護福祉士養成研修II類を受講するための条件
- 認定介護福祉士養成研修I類の修了
- 小規模チームのリーダーとしての実務経験がある
II類の条件はI類ほど厳しくありませんが、I類を修了していることが前提となるため、認定介護福祉士を目指す場合はまずI類の条件をクリアできるかがポイントになります。
介護福祉士ファーストステップ研修
「リーダーへの第一歩」と言われるこの研修。私も4年目に受講しました。
小規模チームのリーダーを育成するための研修で、介護福祉士として約2年の経験を持つ方が対象です。全国社会福祉協議会が認定した施設で開講されており、各都道府県の社会福祉協議会で情報を得ることができます。
カリキュラムは以下の3つの領域に分かれていて、合計200時間という充実した内容です。
- 「ケア」領域(72時間):認知症ケアや終末期ケアなど、専門的なケア技術を学びます。
- 「連携」領域(48時間):多職種協働やチームケアについて学びます。
- 「運営管理基本」領域(80時間):リーダーシップやコーチングなど、チームマネジメントについて学びます。
修了には筆記試験、口頭試験、実技試験、レポート提出などが必要です。専門知識を深め、リーダーシップスキルを向上させる内容となっており、全国社会福祉協議会が認定した施設で受講できます。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
ケアマネージャー(正式名称:介護支援専門員)は、介護福祉士の資格がなくても受験資格を得られる場合がありますが、介護福祉士の資格があることで受験資格の条件を満たせることもあります。
多くの介護福祉士が現場経験を積んだ後にステップアップとして目指す資格です。ケアマネージャーは介護保険制度に精通し、利用者と家族、医療機関などと連携しながら最適な介護サービスを提案・調整する重要な役割を担います。
今後のキャリア設計を考える上で、これらの資格や研修の受験資格や内容を知っておくことは大変役立ちます。
まとめ
介護福祉士として7年間働いてきた私自身、この資格を取得したことでキャリアの可能性が大きく広がったと実感しています。
認定介護福祉士は上位資格として専門性を高め、ファーストステップ研修はリーダーシップを育むための良い機会になりました。また、多くの先輩がケアマネージャーの道を選んでいましたが、私のように社会福祉士を目指す道もあります。
大切なのは「自分が5年後、10年後にどんな介護職になりたいか」という目標を持つこと。現場でケアの専門性を高めたいのか、マネジメントに携わりたいのか、独立を目指すのか。それによって選ぶべき資格や研修も変わってきます。