介護職は社会的に非常に重要な役割を担っているにもかかわらず、「給料が安い」という印象を持たれることが多い職種です。
実際、介護の現場で働く多くの人が、生活費のやりくりや将来への不安を抱えています。このページでは、なぜ介護職の給料が低いのか、その理由を業界構造や制度面、仕事内容、社会的背景といった複数の視点から掘り下げていきます。
さらに、他業種と比較した手取り額のデータも紹介し、現状と今後の展望についても詳しく解説します。
このページでわかること
- 介護職の平均手取り額と年収の実態
- 看護師・保育士・事務職との手取り比較と生活水準
- 介護業界における低賃金の構造的な理由
- 今後の賃金改善の可能性と政策の動向
介護職の給料は本当に安い?他業種との手取り額比較

介護職の給料が「安い」と言われる背景には、実際の手取り額が他業種と比較して低いという事実があります。
介護職の平均手取り額と年収
介護職の平均手取り額は、おおむね17万円から22万円程度です(地域や勤務先により差があります)。年収ベースでは約250万円から330万円ほどとされ、生活費や貯蓄に余裕を持たせるのが難しい水準です。
影響する要素
- 勤務施設の種類(特養、有料老人ホーム、訪問介護など)
- 夜勤手当や資格手当
- 勤続年数や役職

他の職種との比較

介護職の平均年収は、日本の全職種平均(約460万円)と比較すると若干低めですが、介護福祉士などの専門資格の取得や経験を重ねることで収入増加の道が開けます。
特に、特別養護老人ホームや訪問介護事業所では比較的高い給与が設定される傾向があります。
20代(未経験・無資格) | 年収250万〜300万円 |
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30代(資格保有・経験5年以上) | 年収350万〜450万円 |
40代以上(リーダー職・管理職) | 年収450万〜600万円 |
管理職やケアマネージャーのポジションに就くことができれば、年収500万円以上を得ることも十分可能です。
看護師・保育士・事務職との手取り比較
他業種と比較した月額手取りの目安は次のとおりです。
職種 | 平均手取り額(月) |
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介護職 | 17万〜22万円 |
看護師 | 24万〜32万円 |
保育士 | 18万〜23万円 |
事務職 | 19万〜26万円 |
この比較から、介護職と保育士は低賃金層に分類され、特に医療系資格を持つ看護師との差は月収で最大10万円近くに及びます。
夜勤や早朝勤務など負担の大きいシフトにもかかわらず、十分な報酬が得られていない実態があります。
可処分所得ベースで見る生活実態
手取り額から住民税や社会保険料を差し引いた「可処分所得」で考えると、さらに厳しい状況が明らかになります。
- 介護職:手取り20万円 → 可処分所得 約17万〜18万円
- 看護師:手取り28万円 → 可処分所得 約24万〜25万円
- 事務職:手取り23万円 → 可処分所得 約20万円
可処分所得に着目すると、家賃・生活費・教育費を支払った後に自由に使える金額が大きく異なることがわかります。
介護職では、単独で安定した生活を維持するのが難しく、多くの家庭が共働きや副業で家計を補っています。
今後の賃金改善とキャリアアップの可能性
介護職の給料は構造的に低い水準にとどまっていますが、政策的な支援や個人のキャリア戦略によって改善の道も開かれつつあります。
処遇改善加算と政策動向
政府は介護職の待遇改善に向け、さまざまな政策を実施しています。その代表例が「処遇改善加算」です。
- 処遇改善加算
↳介護職員の給与引き上げを目的とした公的支援。事業所が取得条件を満たすことで、職員に月額1万円〜2万円程度の上乗せ支給が可能 - ベースアップ加算
↳2022年以降、追加的な給与改善施策として導入。処遇改善加算よりも広範な支給対象 - 将来の制度改正
↳介護報酬改定や最低賃金引き上げにより、さらなる給与改善が期待されている
ただし、加算の適用には事業所側の申請や条件クリアが必要なため、すべての施設が恩恵を受けられるわけではありません。

資格取得による収入アップ方法
資格取得は介護職の収入を増やすための最も確実な手段の一つです。スキルアップにより、給与水準だけでなく職場での役割や待遇も向上します。
- 介護福祉士
↳国家資格であり、月額1万円〜3万円の給与アップが見込める - ケアマネジャー(介護支援専門員)
↳施設内外で高く評価され、月収ベースで3万円〜5万円の上乗せ可能 - リーダー職・管理者職
↳役職手当やマネジメント業務により、さらに収入増加
資格取得には一定の学習期間や費用がかかりますが、長期的には安定した収入増につながります。
副業・転職の現実的な選択肢
収入を増やすもう一つの手段が副業や転職です。特に介護のスキルは他の医療・福祉分野でも評価されるため、多様な選択肢があります。
方法 | 概要 |
---|---|
副業(夜勤専従、訪問介護など) | 本業に支障のない範囲で追加収入を得る。夜勤専従なら1回あたり2万円〜3万円の報酬も |
医療・福祉分野への転職 | 介護スキルを活かし、医療事務、リハビリ助手など賃金水準の高い職種へ |
公的機関・自治体勤務 | 公務員待遇で安定した給与と福利厚生を得る可能性 |
これらの方法を組み合わせることで、現状の低賃金を補いながらキャリアアップを目指すことが可能です。
おすすめの転職先

サクラサービスとは、介護保険に関わる福祉用具レンタル事業を中心に展開する会社です。「少子高齢化」「介護保険制度」を背景に、創業以来安定した成長を遂げており、毎年多くの新卒社員も入社を決めています。
項目 | 数字 |
---|---|
年間売上 | 30億円 |
社員数 | 291名 |
育休取得率 | 100% |
有給取得率 | 79% |
新卒初任給 | 月給 340,875円~ (経験によって優遇あり) |
転職を考えている方はもちろん、ジョブチェンジへの挑戦や福祉用具専門相談員などの専門資格をお持ちの方も大歓迎です!業界のなかでは給与水準も高く、毎年成長し続けております。

まとめ|給料の現状とキャリアの最適解を見つけよう
この記事では、介護職の給料が安い理由を制度的・経済的・社会的な側面から多角的に分析しました。まず、介護報酬制度による収益上限と人件費比率の高さが給与水準を制約しており、さらに高い離職率と教育コストが経営を圧迫しています。民間施設の努力や公的支援も限界があり、構造的な賃金の低さが続いています。
一方で、処遇改善加算やベースアップ加算といった政策的支援、資格取得による昇給、副業や医療福祉分野への転職など、収入を増やすための具体策も存在します。
可処分所得の視点からも、単なる手取り額以上に生活の質を高める方法を検討することが重要です。