介護福祉士の資格を取得した方の多くが次に考えるのは、「この資格をどう活かしてキャリアアップできるか」という点です。
しかし、実際にはどの資格が自分に向いているのか、どのくらいの費用や学習時間が必要か分からず、不安に感じている方も少なくありません。
そこで本記事では、介護福祉士取得後に目指せる代表的な資格を一覧で紹介し、それぞれの特徴やメリット、取得後のキャリアパスについて具体的に解説します。
このページでわかること
- 介護福祉士取得後に目指せる主な資格とその特徴
- 各資格の取得条件や学習期間、費用
- 資格取得後に期待できるキャリアパスや収入の変化
- 資格ごとに向いている人物像や取得のコツ
介護福祉士を持っていると取れる資格/研修

介護福祉士の資格を活かしてさらに専門性やキャリアの幅を広げられる資格は多岐にわたります。
資格名 | 業務内容 | 受験資格 | メリット |
---|---|---|---|
ケアマネジャー(介護支援専門員) | ケアプラン作成、サービス調整 | 介護福祉士としての一定年数の実務経験 | 収入アップ、管理職候補としてのキャリア形成 |
認知症ケア専門士 | 認知症高齢者へのケア、スタッフ指導 | 実務経験と筆記試験 | 専門職としての信頼獲得、指導者としての活躍 |
社会福祉士 | 生活支援、権利擁護、福祉サービスの調整 | 大学・養成施設での指定科目履修 | 行政や医療分野へのキャリア展開 |
福祉用具専門相談員 | 福祉用具の選定と使用指導 | 指定講習受講 | 在宅介護支援や福祉用具業界での活躍 |
介護食アドバイザー | 介護食の提案、調理支援 | 講習受講(実務経験不問) | 栄養管理や食支援の専門性向上 |
レクリエーション介護士 | 高齢者向けレクリエーションの企画・実施 | 誰でも受講可能(介護福祉士は学習がスムーズ) | 現場の雰囲気向上、利用者の生活の質向上 |
サービス管理責任者 | 個別支援計画の作成、スタッフ指導 | 実務経験と所定の研修受講 | 障害福祉分野での管理職への道が開ける |
認定介護福祉士 | 高度なケア提供、スタッフ指導、後進育成 | 実務経験、研修修了 | リーダー職や指導職としてのキャリアアップ |
特におすすめしたい資格
- 認定介護福祉士
- ファーストステップ研修
- ケアマネージャー(介護支援専門員)
本記事では、特におすすめしたいそれぞれの四角の特徴や取得方法について詳しく解説します。
認定介護福祉士

「キャリアの集大成」と言われるこの資格。私の尊敬する先輩がようやく取得した時は、職場でお祝い会を開きました。
認定介護福祉士は2015年にスタートした介護福祉士のステップアップのための民間資格です。介護現場のリーダーとして必要な高度な知識とスキルを証明する資格として位置づけられています。
取得には「認定介護福祉士養成研修I類」と「認定介護福祉士養成研修II類」の両方を修了する必要があり、取得までに約2年かかります。容易には取得できませんが、その分専門性が高く評価される資格です。
認定介護福祉士養成研修I類を受講するための条件
- 介護福祉士として5年以上の実務経験がある
- 介護職員向け現任研修などの受講時間が合計100時間以上ある
- 研修実施団体が出すレポート課題または試験で基準点以上の成績を収める
これらに加えて、ユニットリーダーなど小規模チームのリーダー経験があると望ましいとされています。施設系と居宅系の両方での経験があるとさらに良いとされており、高いレベルの資格であることがわかります。
認定介護福祉士養成研修II類を受講するための条件
- 認定介護福祉士養成研修I類の修了
- 小規模チームのリーダーとしての実務経験がある
II類の条件はI類ほど厳しくありませんが、I類を修了していることが前提となるため、認定介護福祉士を目指す場合はまずI類の条件をクリアできるかがポイントになります。
介護福祉士ファーストステップ研修
「リーダーへの第一歩」と言われるこの研修。私も4年目に受講しました。
小規模チームのリーダーを育成するための研修で、介護福祉士として約2年の経験を持つ方が対象です。全国社会福祉協議会が認定した施設で開講されており、各都道府県の社会福祉協議会で情報を得ることができます。
カリキュラムは以下の3つの領域に分かれていて、合計200時間という充実した内容です。
- 「ケア」領域(72時間):認知症ケアや終末期ケアなど、専門的なケア技術を学びます。
- 「連携」領域(48時間):多職種協働やチームケアについて学びます。
- 「運営管理基本」領域(80時間):リーダーシップやコーチングなど、チームマネジメントについて学びます。
修了には筆記試験、口頭試験、実技試験、レポート提出などが必要です。専門知識を深め、リーダーシップスキルを向上させる内容となっており、全国社会福祉協議会が認定した施設で受講できます。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
ケアマネージャー(正式名称:介護支援専門員)は、介護福祉士の資格がなくても受験資格を得られる場合がありますが、介護福祉士の資格があることで受験資格の条件を満たせることもあります。
多くの介護福祉士が現場経験を積んだ後にステップアップとして目指す資格です。ケアマネージャーは介護保険制度に精通し、利用者と家族、医療機関などと連携しながら最適な介護サービスを提案・調整する重要な役割を担います。
今後のキャリア設計を考える上で、これらの資格や研修の受験資格や内容を知っておくことは大変役立ちます。
介護関連の資格取得のメリットとキャリアパス

介護福祉士として次の資格に挑戦することで、働き方や役割が大きく広がります。ここでは、代表的なメリットとキャリアパスの変化について解説します。
収入アップと職域の拡大
資格取得により、責任あるポジションや新たな職域への道が開け、収入の向上も期待できます。
- 管理職や専門職への昇進
↳ケアマネジャーやサービス管理責任者など - 収入の増加
↳資格手当や役職手当が付くことが多い - 職域の拡大
↳福祉用具販売、行政機関、教育分野など
専門性の向上と信頼性の確立
資格を取得することで、より専門的な知識とスキルを身につけ、利用者や同僚、雇用主からの信頼も厚くなります。
取得資格 | 専門性の内容 | 信頼性の確立 |
---|---|---|
認知症ケア専門士 | 認知症ケアの高度な知識と技術 | 利用者家族や医療機関からの高評価 |
認定介護福祉士 | 高度なケア実践と後進指導 | 施設内外でのリーダー的存在 |
介護以外の分野へのキャリアチェンジ
取得資格によって、介護職以外の新たなキャリアへの道も拓けます。特に福祉・医療・行政など幅広い分野での活躍が可能です。
- 障害福祉
↳サービス管理責任者、生活支援員 - 医療福祉
↳医療ソーシャルワーカー、相談支援専門員 - 行政・地域福祉
↳地域包括支援センター職員、福祉相談員
介護関連の資格取得までの流れとポイント

資格取得は計画的に進めることが成功のカギです。受験資格や学習方法、費用面をしっかり把握し、無理のないスケジュールを立てましょう。
受験資格と取得条件
各資格には、必要な実務経験や学歴、講習受講などの条件があります。事前に条件を確認し、自分が目指せる資格を見極めましょう。
- ケアマネジャー
↳介護福祉士など一定の国家資格と5年以上の実務経験 - 認知症ケア専門士
↳関連職種での実務経験と試験合格 - 社会福祉士
↳大学や指定養成施設での必要単位修了
学習方法とスケジュール管理
働きながらの資格取得には、効率的な学習とスケジュール管理が不可欠です。
学習方法 | ポイント |
---|---|
通信講座 | 自分のペースで学べるが、計画的な進行が必要 |
通学講座 | 講師の直接指導を受けられるが、時間の確保が必要 |
独学 | 費用が抑えられるが、情報収集と自己管理が重要 |
費用と助成金・教育ローンの活用
資格取得には受講料や受験料がかかりますが、経済的負担を減らす方法もあります。
- 受講費・受験料
↳資格によって1万円~数十万円まで幅がある - 助成金制度
↳「教育訓練給付金」「キャリアアップ助成金」などを利用可能 - 教育ローン
↳低金利の教育ローンを活用して分割払いが可能
まとめ|自分に最適な資格を見つけてキャリアアップを実現しよう
この記事では、介護福祉士が取得後に目指せる資格と、それぞれの特徴やメリット、キャリアパスについて詳しく解説しました。ケアマネジャーや認知症ケア専門士といった専門性の高い資格から、福祉用具専門相談員やレクリエーション介護士のように比較的取得しやすい資格まで、幅広い選択肢が存在します。
それぞれの資格がキャリアアップや収入増、そして新たな職域での活躍を後押しします。
また、取得に向けた具体的な学習方法や費用対策についても紹介し、不安を感じやすい勉強や経済的負担への備え方も確認できたかと思います。自分の将来像や得意分野、現在のライフスタイルに合った資格を選ぶことが、無理なく着実なキャリアアップにつながります。