高齢の家族の介護について考え始めたとき、「デイサービスって何?」と疑問に思う方は多いはずです。
介護サービスにはいろいろな種類があり、初めてだと混乱してしまうかもしれません。デイサービスは、要介護の高齢者が日中だけ通うことができる介護施設で、食事や入浴、リハビリなどのサービスを受けながら安心して過ごせる場所です。
この記事では、専門用語を使わず、日常生活に近い視点で「デイサービス」の仕組みや特徴、利用の流れをやさしく解説します。自分や家族に合っているのかを判断するための基礎知識を得られる内容となっていますので、初めての方でも安心して読み進められます。
このページでわかること
- デイサービスの役割や特徴をわかりやすく解説
- 誰がどんな条件で利用できるのかを紹介
- 1日の過ごし方や受けられるサービスの内容
- 利用までの手続きや費用の目安
- 訪問介護や施設介護との違いを比較
デイサービスの基本を簡単に解説

デイサービスは、高齢者が自宅での生活を続けながら、必要な介護や支援を日帰りで受けられる施設です。送迎や食事、入浴の介助、リハビリ、レクリエーションなどを受けることができ、自立支援と家族の負担軽減の両方を目的としています。
デイサービスとは?簡単な言葉で説明
デイサービスは、要介護の高齢者が昼間の時間に施設へ通い、必要な支援やサービスを受ける介護のしくみです。夜は自宅に戻るため、住み慣れた環境を保ちながら、日中のサポートを受けられるのが特長です。
サービス内容 | 概要 |
---|---|
送迎 | 自宅から施設までスタッフが車で送迎 |
食事 | 栄養バランスを考慮した食事を提供 |
入浴 | 安全に配慮した介助付きの入浴支援 |
機能訓練 | リハビリや軽運動などの身体機能を維持する活動 |
レクリエーション | ゲームや工作、季節行事など楽しみながら交流 |
家庭だけでは難しいサポートを施設が担うことで、高齢者がより安心して生活できる環境が整います。
対象者と利用できる条件は?
デイサービスの利用は、介護保険制度に基づいた認定を受けていることが前提です。対象となるのは、以下のいずれかに該当する人です。
- 65歳以上で介護認定を受けた人
↳生活上の支援が必要と判断された場合に該当 - 40歳〜64歳で特定疾病により介護が必要な人
↳脳血管疾患や認知症など、介護保険制度の対象疾患がある人
実際の利用には、ケアマネジャーによる「ケアプラン」の作成と、市区町村への申請が必要です。直接申し込むことはできないため、まずは地域包括支援センターなどでの相談から始めると安心です。
どんなサービスが受けられるの?
デイサービスでは、日常生活の基本動作をサポートしながら、心身の健康を維持するための多彩なプログラムが実施されています。主な内容は以下のとおりです。
種類 | 具体的な内容 |
---|---|
食事 | 刻み食、アレルギー対応など個別対応も可能 |
入浴 | 一般浴、機械浴など状況に応じた安全な入浴 |
機能訓練 | 理学療法士などによる軽い運動や体操 |
レクリエーション | 歌、体操、脳トレなどで認知症予防やストレス軽減 |
健康チェック | 血圧・体温などの測定で体調管理をサポート |
体の機能だけでなく、気分のリフレッシュや社会参加にもつながるよう配慮されたプログラム構成になっています。
1日の流れはどんな感じ?
デイサービスでは、一定のスケジュールに基づいて1日が進行します。利用者が安心して過ごせるように、活動と休憩のバランスを重視しています。以下は、一般的な1日のタイムスケジュールの例です。
時間 | 活動内容 |
---|---|
8:30〜 | 送迎(スタッフが自宅へ迎えに来る) |
9:30〜 | 健康チェック・お茶タイム |
10:00〜 | 機能訓練やレクリエーション |
12:00〜 | 昼食(施設内で提供) |
13:00〜 | 入浴・休憩(交代制) |
14:00〜 | レクリエーションや個別活動 |
15:00〜 | おやつタイム |
16:00〜 | 送迎(自宅まで送り届け) |
施設ごとに多少の違いはありますが、活動と休息のバランスが取れた一日が過ごせるように配慮されています。

デイサービスを利用するにはどうすればいい?

デイサービスを利用するには、単に施設に申し込むだけではなく、いくつかの手順と制度上の手続きが必要です。利用対象であるかどうかの確認から始まり、ケアプランの作成、施設選び、申請手続きへと進みます。
利用開始までの流れと必要な手続き
デイサービスを始めるには、介護保険制度に基づいた決まった流れがあります。以下の表に、主な手続きとその内容を整理しました。
ステップ | 具体的な内容 |
---|---|
1. 相談 | 地域包括支援センターまたはケアマネジャーに相談 |
2. 申請 | 市区町村に介護認定を申請 |
3. 認定調査・判定 | 訪問調査と医師の意見書により介護度を決定 |
4. ケアプラン作成 | ケアマネジャーが希望や状況に応じたプランを作成 |
5. サービス開始 | 施設との契約後、デイサービスがスタート |
最初からすべてを自分でやる必要はなく、ケアマネジャーや地域包括支援センターのサポートを受けながら進めることができます。
費用の目安と支払い方法
デイサービスの費用は、介護保険が適用されることで自己負担が軽減されます。負担割合は収入に応じて変動し、原則1割負担(2〜3割負担となる場合もあり)です。
以下の表は、費用の目安を簡単に示したものです。
利用時間 | 要介護度 | 自己負担の目安(1割負担) |
---|---|---|
5〜7時間 | 要介護1 | 約700円〜800円 |
5〜7時間 | 要介護2 | 約800円〜900円 |
5〜7時間 | 要介護3以上 | 約1,000円〜1,200円 |
このほか、昼食代やおむつ代、イベント費などが別途かかることもあるため、契約前に詳細な内訳を確認することが大切です。
相談窓口と見学のコツ
「どこに相談すればよいかわからない」「どの施設が合っているか不安」という方は、まず地域包括支援センターに連絡を取るのが最も安心です。
地域包括支援センターは、市区町村ごとに設置されており、高齢者の介護や福祉に関する相談を無料で受け付けています。相談員が制度や手続きについてわかりやすく説明してくれます。
また、ほとんどのデイサービス施設では「見学」や「体験利用」が可能です。実際の雰囲気やサービス内容を自分の目で確かめられるため、納得して利用を始めるための第一歩として非常に有効です。

他の介護サービスとデイサービスはどう違うの?

デイサービス以外にも、在宅で受けられる「訪問介護」や、住み込み型の「施設介護」など、高齢者の状況に応じたさまざまな介護サービスがあります。
それぞれの特徴を理解することで、自分や家族にとってどの選択が最も適しているかを見極める手助けになります。
訪問介護との違い
訪問介護は、ホームヘルパーが自宅を訪問し、必要な生活支援や身体介護を行うサービスです。これに対し、デイサービスは利用者が施設に通ってサービスを受ける形式です。
項目 | 訪問介護 | デイサービス |
---|---|---|
サービス場所 | 自宅 | 施設 |
主な支援内容 | 掃除、調理、入浴介助、排泄介助など | 入浴、食事、リハビリ、レクリエーションなど |
時間帯 | 必要な時間だけ | 日中(例:9時~16時) |
交流の機会 | ほとんどない | 他の利用者と会話や交流がある |
訪問介護は「家から出たくない」「外出が困難」という人に適しており、デイサービスは「日中だけ預けたい」「人との関わりを大切にしたい」というニーズに合った選択肢です。
施設介護との違い
施設介護は、高齢者が24時間体制のサポートを受けながら、施設に住み込んで生活する形の介護サービスです。デイサービスとはサービスの目的や生活スタイルが大きく異なります。
項目 | デイサービス | 施設介護 |
---|---|---|
利用形態 | 日帰り | 入所(住み込み) |
生活拠点 | 自宅 | 施設内で生活 |
対象者 | 要支援~軽度の要介護者 | 中~重度の要介護者が中心 |
費用 | 比較的安価(1割負担が基本) | 月額利用料が高額になる場合も |
家族の役割 | 送迎や日常の介護が必要 | 施設に任せられるため負担軽減 |
施設介護は「自宅での生活が難しい」「夜間の介護が必要」といったケースで選ばれる一方、デイサービスは「できる限り家で過ごしたい」という高齢者の思いを叶えやすいサービスです。

まとめ|デイサービスで安心の第一歩を踏み出そう
この記事では、デイサービスの基本的な仕組みや利用方法について、初心者にもわかりやすく紹介してきました。デイサービスとはどんな場所なのか、誰が利用できて、どんなサービスが受けられるのか、他の介護サービスとの違いまでを一通り理解いただけたかと思います。
実際にデイサービスを使ってみたいと感じた方は、まず地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみるのが最もスムーズな始め方です。相談・見学・体験利用といったステップを踏むことで、無理なく安心して利用を開始できます。
重要なのは、自分や家族にとって無理のない形で介護サービスを取り入れることです。介護の負担を一人で抱え込まず、使える支援を上手に取り入れていくことが、心にも体にもゆとりを生む第一歩になります。