初めて制度を調べると、名称は知っていても実際の違いがつかみにくいもの。
この記事では、1型と2型を「目的・対象者・活動内容・体制・費用」という軸で整理し、自治体ごとの差に迷わない読み解き方までやさしく解説します。
このページでわかること
- 地域活動支援センターの基本と、1型・2型の位置づけ
- 1型と2型のちがいを表で整理(目的・対象・活動・体制・時間・費用)
- 自治体パンフの読み解き方と、見学で確認すべき要点
地域活動支援センターとは|制度の基本と「型」の位置づけ

地域で安心して暮らすための拠点として、平日日中の居場所づくりや社会参加のきっかけづくりを担う公的サービスが地域活動支援センターです。
地域活動支援センターの目的と役割
結論、地域活動支援センターは「安心して通える居場所」と「社会とつながる通路」の両面を担います。
| 主要機能 | ねらい・効果 |
|---|---|
| 日中の居場所づくり | 安心して過ごせる空間の確保、過覚醒を避けたペースづくり |
| 社会参加へのステップ | 外出機会の創出、少人数の交流、地域行事への参加練習 |
| 生活リズムの安定 | 通所習慣の確立、起床・通所・帰宅の流れの固定化 |
| 本人・家族の相談の受け皿 | 日々の困りごとの共有、関係機関へのつなぎ |
| 家族の休息(レスパイト) | 家事・通院・仕事調整の時間確保 |
これらはどのセンターにも共通する軸です。個別計画に基づく関わりの濃さ、活動の選択肢の幅、送迎や昼食の扱いなどは事業所ごとに差があるため、見学での確認が欠かせません。
1型・2型という区分の考え方
要点は、1型は活動の幅や滞在時間が比較的長めで関わりの密度もやや高い傾向、2型は小規模・短時間・見守り中心で通いやすい傾向がある、という整理です。
自治体が地域の実情に合わせて規模や運営を設計しているため、同じ呼称でも中身には幅があります。一般的なイメージを言語化すると次の通りです。
- 1型のイメージ
↳活動メニューが多め、個別の目標と日課づくりを意識、滞在時間はやや長め - 2型のイメージ
↳規模は小さめ、短時間で通いやすい、交流・見守り中心でハードルが低い - 共通点
↳居場所機能、社会参加への橋渡し、相談の受け皿
実際には、1型でも短時間コースを設ける事業所、2型でも創作や軽作業に力を入れる事業所もあります。

自治体による運用差が生まれる理由
地域差が大きいのは、制度設計の裁量が自治体に委ねられている領域が多いからです。差が出やすい要因を、見極め方と併せて整理します。
| 要因 | どう差が出るか |
|---|---|
| 委託仕様の設計 | 活動範囲、開所時間、定員、加算の取り扱いの幅 |
| 地域資源・人材 | 医療・就労機関との連携度、専門職の配置状況 |
| 事業者の得意分野 | 創作、交流、軽作業、アウトリーチなどの強みの偏り |
| 財政・地理条件 | 送迎や昼食の費用設定、郊外型か駅近型かの違い |
この視点を押さえて資料を読み、見学で実際の運用を確かめると、名称より実態に基づいた比較がしやすくなります。
1型と2型の違いを一目で比較

最初に全体像を押さえると迷いにくくなります。一般的には、1型は活動の幅が広く滞在時間もやや長め、2型は小規模で短時間に通いやすい傾向があります。
対象者・想定する目的の違い
1型と2型のどちらが合いそうかは、「今の目的」と「無理なく通えるペース」でおおよそ見えてきます。
| 観点 | 1型 | 2型 |
|---|---|---|
| 想定する利用目的 | 社会参加の練習、活動の選択肢を広げたい、日課づくりを進めたい | 安心して過ごす居場所、短時間での外出機会、体験から慣れていきたい |
| 対象像 | 活動への関心があり、少しずつ目標を持って通いたい人 | まずは見守り中心で通い出したい人、刺激に配慮が必要な人 |
| 滞在イメージ | 半日〜1日滞在も想定、プログラム参加がメインになりやすい | 1〜3時間など短時間、自由度が高くペース重視 |
| 向いているケース | 活動を増やしたい、将来の就労準備につながる体験をしたい | まずは通えるか試したい、静かな環境で少人数から慣れたい |
サービス内容と活動メニューの違い
活動のタイプは大きく「創作・交流・軽作業・健康づくり・地域参加体験」に分けられます。
- 創作・文化活動(工作、絵画、音楽、手芸 など)
↳集中しやすい静的活動が多いと参加しやすい。1型は選択肢が幅広い傾向。 - 交流・余暇(喫茶、ボードゲーム、少人数サロン)
↳雑談の場が苦手でも座席配置や声かけの仕方で参加しやすさが変わる。 - 軽作業・生産(封入、袋詰め、リサイクル補助 など)
↳作業量や難易度の調整幅があると継続しやすい。1型で組まれやすい。 - 健康づくり(軽運動、ストレッチ、ウォーキング)
↳時間帯・強度を選べると負担を抑えられる。2型は自由参加形式が多い。 - 地域参加体験(買い物練習、外出行事、地域清掃 など)
↳屋外の刺激に配慮できるかが鍵。付き添い体制の有無も確認ポイント。
プログラムの密度や自由参加の可否、当日の変更しやすさは事業所によって幅があります。

規模・人員配置・開所時間のめやす
通いやすさを左右するのが「規模感」「職員の配置」「開所時間帯」です。一般的なめやすをまとめると次の通りです(自治体で差があります)。
| 項目 | 1型 | 2型 |
|---|---|---|
| 規模(定員の目安) | 中規模(例:日中20〜30名程度) | 小規模(例:日中10〜20名程度) |
| 人員配置 | 職員数が多め、個別支援の時間を取りやすい | 見守り中心、少人数で柔軟に対応 |
| 開所日・時間 | 平日フルタイム中心+一部土曜開所の例 | 平日短時間帯中心(午前・午後の枠など) |
| 活動参加の型 | 時間割型(プログラムが組まれている) | 自由参加型(滞在中に選んで参加) |
数字はあくまで例であり、仕様書やパンフ、見学時の説明で実数を確認してください。
費用・送迎・昼食など実費負担の違い
費用は原則として低額〜無料が多い一方、材料費や昼食代、外出時の交通費など実費がかかる場合があります。
- 基本の利用料
↳無料または少額の自治体が多い。受給者証の要否は地域差がある。 - 材料費・行事費
↳創作や外出の内容により数百円〜の実費が発生することがある。 - 昼食・飲み物
↳持参型、実費徴収、用意ありの三方式が見られる。アレルギー対応の可否も確認。 - 送迎
↳実施の有無、送迎範囲、片道のみ対応の可否、キャンセル時の取り扱いを事前に確認。 - 医療的配慮が必要な場合の対応
↳看護職の在籍や嘱託体制の有無、かかりつけとの連携方法を要確認。
見学予約時に「月あたりの平均的な実費額」「キャンセル時の扱い」「急な体調変化があった日の対応」を具体的に聞いておくと安心です。
3型との違いは?

1型・2型に加えて、3型は地域の障害者団体などが長年行ってきた通所援護の取り組みを土台にしたタイプです。
I・II・III型の制度上のちがい
最も誤解が生じやすいのが「どんな事業を想定しているか」と「1日あたりの利用者数のめやす」です。公表資料に基づく整理は次のとおりです(自治体ごとに運用は異なります)。
| 観点 | I型 | II型 | III型 |
|---|---|---|---|
| 事業の軸 | 専門職(例:精神保健福祉士)を置き、医療・福祉・地域との連携や普及啓発、ボランティア育成を実施 | 在宅で働くことが難しい人に、機能訓練・社会適応訓練・入浴などを実施 | 地域の障害者団体等が通所援護を概ね5年以上継続し、引き続き実施 |
| 1日あたりの利用者数のめやす | 概ね20人以上 | 概ね15人以上 | 概ね10人以上 |
| 活動の傾向 | 社会参加の練習や交流、個別の相談・調整も手厚い例が多い | 日常生活の維持や健康面を意識したメニューを組みやすい | 地域団体の強みを生かした交流や作業、相談などを柔軟に実施 |
| 背景・設置主体の色 | 自治体の機能強化事業の枠組みを使い運営 | 同左 | 地域の団体等が中心で、歴史的経緯を引き継ぐ色が出やすい |
| 想定される通い方 | 半日〜1日の滞在も想定しやすい | 短時間枠や日中活動を組み合わせやすい | 他サービスとの併用やピンポイント参加がしやすい |
I・II・III型の枠組みはあくまで「制度上の型」であり、実際の運用は自治体の設計や事業者の得意分野で変わります。見学での確かめが欠かせません。
3型を選ぶと合いやすい場面(目安)
3型は地域団体の強みを生かし、少人数で柔軟に通える点が魅力です。こんな状況なら合う可能性があります。
- まずは負担を抑えつつ、短時間の交流や創作から始めたい
↳人の密度や刺激を抑えやすい少人数運営の強み - 他サービスと組み合わせて週1回だけ地域参加の機会を作りたい
↳就労系・デイケア等との併用がしやすい運用例 - 地域の家族会・当事者会の雰囲気を重視したい
↳歴史的に地域団体が担ってきた交流・相談の蓄積 - 費用や手続きがシンプルな枠組みを望む
↳実費の項目や申込手順が分かりやすい例がある
3型でも活動の幅や人員体制は事業所で差があります。資料で枠組みを確認しつつ、当日の運用や参加しやすさは見学・体験で確かめてください。
まとめ
地域活動支援センターは、地域で安心して過ごす居場所であり、社会参加への入口です。1型は活動の幅が広く滞在時間もやや長め、2型は小規模・短時間で気軽に通いやすい傾向があります。
対象像・活動内容・人員体制・開所時間・費用は自治体で差が出ますので、パンフと見学で実態を確認してください。
目的(居場所づくり・生活リズム・社会参加・就労準備)を定め、短時間体験や併用も視野に、通いやすさと環境の合い具合を軸に選ぶと失敗しにくいです。


