介護福祉士として働いていると、「このままでいいのかな」「将来のために何か資格を取ったほうがいいのでは」と感じる場面があるかもしれません。現場での経験を重ねるなかで、体力的な不安やキャリアの行き詰まりを感じる人も少なくありません。
そんな中、注目されているのが「ダブルライセンス」という選択肢です。
とはいえ、資格の種類は多岐にわたり、「社会福祉士」「精神保健福祉士」「ケアマネジャー」「看護師」「保育士」など、どれを選べばよいか迷うのも当然です。そこで本記事では、介護福祉士がダブルライセンスを目指すにあたって知っておきたい情報をまとめました。
このページでわかること
- 介護福祉士がダブルライセンスを目指すメリットと注意点
- 目的別に見た、おすすめの資格の組み合わせ
- 各資格の取得に必要な条件・費用・勉強時間の目安
介護福祉士がダブルライセンスを目指すべき理由

介護福祉士として働く中で、「今後のキャリアを広げたい」「このまま現場中心で働き続けるのは不安」という思いを抱く人は少なくありません。身体的な負担が大きい仕事だからこそ、将来を見据えた選択肢を持つことが重要になります。
ダブルライセンスのメリット・デメリットを整理しよう
まず押さえておきたいのが、資格を増やすことによって得られる利点と、気をつけたい点の両方です。全体像を理解しておくことで、どの資格が自分に合うかが自然と見えやすくなります。
以下の表に主なメリットとデメリットをまとめました。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 役職や資格手当がつく場合があり収入が増える可能性がある | 学習時間の確保と費用負担が必要になる |
| 相談援助・子ども・医療など別分野を目指しやすくなる | 職場によっては資格を取得しても役割が変わらない可能性 |
| 体力的負担の少ない働き方にシフトしやすい | 長期的な勉強が求められ途中で挫折しやすい |
メリットが大きい一方で、時間的・精神的な負担がかかるのも事実です。取得後の働き方までイメージしながら選ぶと、無理のない計画につながります。

年収・キャリア・働き方はどこまで変わる?
ダブルライセンスによってどの程度変化が生まれるのかは、多くの人が気になる部分です。変化の大きさは職場や働き方によって異なりますが、一般的な傾向を整理しておくと判断しやすくなります。
- 年収の変化
↳資格手当や役職手当が上乗せされ、年間で数万円から20万円前後の差が出ることがある - キャリアの広がり
↳相談員、ケアマネ、管理職など、新しい役割への挑戦が可能になる - 働き方の柔軟性
↳夜勤なしの勤務や土日休みの事業所など、負担の少ない働き方に変えやすくなる
収入だけを目的にするとギャップを感じる場合もありますが、自分の得意分野を増やし、長く続けられる働き方へ移行できる点が大きな意義といえます。
介護福祉士におすすめのダブルライセンス一覧
目的に合わせて資格を比較しやすいよう、すべて同じ構成で整理しながら解説します。資格ごとの特徴や適性を理解しておくと、将来像に合った選び方がしやすくなります。
王道ルート:社会福祉士とのダブルライセンス
社会福祉士は、相談援助や福祉行政など幅広い領域で活躍できる資格です。介護福祉士として培った経験を土台に、より専門的な支援に携わりたい人に向いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得ルート | 福祉系大学で指定科目を履修して受験、または実務経験+短期養成施設の修了で受験が可能 |
| 難易度・期間 | 勉強期間は1〜2年が一般的。範囲が広いため計画的な学習が必要 |
| 費用の目安 | 通信制課程で10〜30万円前後、受験料やテキスト代が別途かかる |
| 向いている人 | 相談援助や行政分野に進みたい人、キャリアの幅を大きく広げたい人 |
| 注意点 | 学歴などによって取得ルートが異なるため、事前の確認が欠かせない |

相談援助に強くなる:精神保健福祉士との組み合わせ
精神保健福祉士は、精神保健分野や障がい支援に関わる職種で力を発揮できます。メンタル面の支援に関心がある人にとって、介護経験との相性が良い資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得ルート | 福祉系大学で指定科目履修、または実務経験+養成課程修了で受験 |
| 難易度・期間 | 1〜2年の学習が必要で、心理・精神医学の理解が求められる |
| 費用の目安 | 通信制で10〜25万円程度、受験料や教材費が別途必要 |
| 向いている人 | 精神・障がい分野に興味があり、人の心に寄り添う支援を深めたい人 |
| 注意点 | 専門性が高いため、学習内容が難しく感じやすい |

キャリアアップ・収入アップ重視:ケアマネジャーとの組み合わせ
ケアマネジャーは、ケアプラン作成やサービス調整を担う専門職で、現場経験を土台にしたキャリアの次のステップとして定番です。身体負担の少ない働き方に移行しやすい点も魅力です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得ルート | 介護福祉士として5年以上(900日以上)の実務経験後、試験に挑戦 |
| 難易度・期間 | 試験合格率が低めで、半年〜1年ほどの学習が必要 |
| 費用の目安 | 講座受講で5〜15万円程度。試験後の実務研修に別途費用がかかる |
| 向いている人 | 現場経験を活かしながらマネジメント寄りの仕事へ進みたい人 |
| 注意点 | 実務経験が受験の前提となるため、早期計画が重要 |

医療分野にも強くなる:看護師とのダブルライセンス
看護師との組み合わせは、医療と介護の両領域に広く関わりたい人に向いています。病院、訪問看護、医療的ケアを扱う施設などで活躍しやすく、将来の選択肢が大きく広がります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得ルート | 看護大学4年、または専門学校3年を修了後に国家試験 |
| 難易度・期間 | 3〜4年かけて基礎医学・看護技術を学ぶ必要がある |
| 費用の目安 | 年間50〜150万円ほどかかることが多い |
| 向いている人 | 医療寄りの支援に関心があり、多様な現場でスキルを伸ばしたい人 |
| 注意点 | 学習量と費用が多く、ライフステージに合った計画が不可欠 |
子ども分野で活躍したい人向け:保育士とのダブルライセンス
保育士は、子ども支援に興味がある人に向いており、福祉・発達支援の視点を含めた幅広いキャリアを築けます。高齢者施設と保育施設の複合事業などでも役立つ組み合わせです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得ルート | 養成校(大学・短大・専門)を卒業、または保育士試験に合格 |
| 難易度・期間 | 半年〜1年の学習が一般的。科目数が多いため計画性が大切 |
| 費用の目安 | 独学なら低コスト、通信講座で5〜10万円程度が目安 |
| 向いている人 | 子ども支援や教育分野に関わりたい人、福祉全般に興味がある人 |
| 注意点 | 勤務時間が不規則な職場もあり、家庭との両立を意識した準備が必要 |
自分に合う介護福祉士とのダブルライセンスの選び方

資格選びに悩んだとき、重要なのは「自分に合っているかどうか」という視点です。
年齢・体力・家庭状況から考える資格の優先順位
資格取得には一定の時間とエネルギーが必要です。だからこそ、今の自分のライフステージに合わせて選ぶことが、無理のない継続と将来の満足感につながります。
- 20〜30代/夜勤も可能/独身や時間に余裕がある人
↳社会福祉士や看護師など、長期的な学習が必要な資格にも挑戦しやすい - 30〜40代/子育てや家事と両立している人
↳ケアマネジャーや保育士など、学習期間が比較的短く柔軟に学べる資格が向いている - 40〜50代以降/体力に不安がある、家族の介護と両立している人
↳精神保健福祉士やケアマネジャーなど、現場負担の少ない職種への転換がしやすい資格が適している
家庭や仕事とのバランスを意識しながら、「現実的に続けられるかどうか」で優先順位をつけることが大切です。
難易度・費用・勉強時間の目安を比較する
資格取得の計画を立てる際には、「どれくらいの努力とコストが必要か」を知っておくことが不可欠です。代表的な資格を比較すると、次のような傾向があります。
| 資格名 | 難易度 | 学習期間の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|
| 社会福祉士 | やや高い | 1〜2年 | 10〜30万円 |
| 精神保健福祉士 | やや高い | 1〜2年 | 10〜25万円 |
| ケアマネジャー | 中程度 | 半年〜1年 | 5〜15万円 |
| 看護師 | 高い | 3〜4年 | 50〜150万円 |
| 保育士 | 中程度 | 半年〜1年 | 5〜10万円 |
表の通り、資格ごとに必要な準備は大きく異なります。今の生活状況や将来のキャリア計画に合わせて、「始めやすい資格」から一歩ずつ挑戦していくのが現実的な進め方です。


