「学校現場で社会福祉の専門職として働くスクールソーシャルワーカー(SSW)。でも実際の給料ってどれくらい?」「やりがいは大きそうだけど、暮らしていけるのかな?」といった不安を抱える人も多いでしょう。
この記事では、最新データをもとに年収・月給の目安から雇用形態ごとの差、他職種との比較、給料を上げるための具体的な方法までをわかりやすく整理しました。
このページでわかること
- スクールソーシャルワーカーの平均年収・月給の実態
- 雇用形態や勤務先による給料の差とその理由
- 他の社会福祉関連職種・教員系職種との給料比較
- 給料を上げるための実践的な働き方・キャリアパス
スクールソーシャルワーカーの給料の基本

スクールソーシャルワーカー(School Social Worker、以下 SSW)として働く場合、「給料が生活していくにはどうなのか」「他の職種と比べて安いのでは」といった不安は少なくありません。
平均年収・月給はいくらくらい?
SSWの平均年収を見ると、雇用形態・勤務先・常勤・非常勤などにより大きなばらつきがあります。ある調査によれば、SSW全体の平均年収はおおよそ292万円。
一方で、正規職員として雇用されているケースでは年収460万円台、契約職員やパート・派遣では200〜300万円台といったデータもあります。
月給換算すると、年収292万円の場合「月額約24万円・手取り20万円前後」という試算も見られます。このように「平均」という言葉の裏には、雇用形態やポジションの違いによる大きな差が隠れていることを理解しておきましょう。
正規・契約・パートなど雇用形態別の収入の違い
SSWの給料差が生まれる大きな要因の一つが雇用形態です。以下の表に主な雇用形態別の年収目安を整理しました。
| 雇用形態 | 年収の目安 |
|---|---|
| 正規職員(常勤) | 約460万円〜 |
| 契約職員(有期雇用) | 約295万円〜 |
| パート・短時間職員 | 約240万円前後 |
| 派遣職員 | 約200万円前後 |
このように、同じ「スクールソーシャルワーカー」という職名でも、雇用条件によって年収に2倍以上の差が出ることもあります。特に「正規雇用でない状態」が「給料が低い」「働き方が不安定」といった印象につながるため、雇用形態の確認は極めて重要です。
また、月給・手取り・ボーナス・勤務時間・休日数なども雇用形態によって異なるため、求人票や面接で具体的な条件を必ず確認しましょう。

勤務先・雇用主による給料の差
スクールソーシャルワーカー(SSW)の給料は、勤務先の雇用主や契約形態によって大きく変わります。ここでは、「自治体・教育委員会直雇用」と「NPO・民間委託・非常勤SSW」という代表的な2つのモデルについて、収入の傾向とその理由を整理します。
自治体・教育委員会直雇用の場合の年収イメージ
自治体や教育委員会に正職員として採用されるSSWは、給与体系が公務員に準じて整備されていることが多く、他の雇用形態に比べて収入・待遇ともに安定しやすい傾向があります。
具体的には「年収400万円〜600万円程度」といった報告もあり、経験や地域、職位によってはさらに上がるケースがあります。
ただし、正職員での採用枠は非常に少なく、全体の6%程度という調査もあるため、このルートを目指すには計画的な準備が求められます。
NPO・民間委託・非常勤SSWの給料と働き方
NPO法人や社会福祉法人が教育委員会から委託を受けて配置するSSWや、非常勤・パートタイムで働くSSWの給料は、全体的にやや低めです。契約職員で年収約295万円、パートで約240万円、派遣では200万円程度などのデータが示されています。
このような雇用形態では、勤務時間が短く、複数校を掛け持ちし、手当や賞与がないなど、年収に影響する要因が多く存在します。
以下の表で、雇用主別の待遇の違いを比較してみましょう。
| 項目 | 自治体・教育委員会直雇用 | NPO・民間委託・非常勤SSW |
|---|---|---|
| 年収の目安 | 約400万~600万円 | 約200万~300万円 |
| 雇用形態 | 正規職員(公務員扱いの場合あり) | 契約職員・パート・派遣など |
| 勤務日数・時間 | 週5日・フルタイム | 週2〜4日・短時間勤務が多い |
| 担当校数 | 1〜2校程度が多い | 3〜10校を掛け持つケースも |
| ボーナス・手当 | 支給あり(年2回など) | なし、またはごく少額 |
| 雇用の安定性 | 長期雇用が前提、任期付きもあり | 1年更新が多く、不安定 |
| 求人の数 | 非常に少ない(全国でも一部) | 多数(地域によっては常時あり) |
待遇の安定を重視するなら自治体直雇用を目指し、柔軟な働き方や現場経験を優先するなら非常勤も現実的な選択肢です。

他職種と比較したスクールソーシャルワーカーの給料

社会福祉士の他分野(病院・施設・行政)との年収比較
スクールソーシャルワーカー(SSW)として働く場合の年収は、他の社会福祉士職種と比べてやや低めの水準であることがデータから見えてきます。雇用形態や経験年数、勤務先による差も大きいため、数値をもとに現実を具体的に把握しておくことが大切です。
| 職種 | 平均年収の目安 |
|---|---|
| スクールソーシャルワーカー | 約292万円 |
| 相談員(社会福祉施設等) | 約354万円 |
| 医療ソーシャルワーカー(病院勤務) | 約384万円 |
| 地域包括支援センターの社会福祉士 | 約376万円 |
このように、スクールソーシャルワーカーの平均年収は他の分野に比べて数十万円低い傾向があります。その背景には、「正規雇用が少ない」「非常勤・契約職が多い」「勤務時間・担当範囲が限定されている」といった条件が影響しています。
教員・スクールカウンセラーとの違いとバランス
学校現場で働く専門職という点では、教員やスクールカウンセラーとも比較されがちです。教員の場合は公務員としての給与体系が用いられ、安定性も比較的高くなっています。
教員の初任給データでは、大学卒25歳のモデルで年収約560万円という例もあり、学校現場で働く専門職の中ではスクールソーシャルワーカーの給料が見劣りするケースがあることが分かります。
このような状況から、スクールソーシャルワーカーに転職・就職を検討する際には、「給料だけでなく、休日・勤務時間・専門性といった総合的な働き方」を見比べることが重要です。
まとめ
スクールソーシャルワーカー(SSW)の給料事情を見ていくと、雇用形態や勤務先、地域などによって大きく差が出ており、平均年収が他職種と比べて少し低めであるのは否めません。しかしながら、収入の低さだけに焦点を当てて「やめておく」と決めてしまうのは、少しもったいない選択です。
働き方や職場を少し工夫するだけで、給料以外の価値(勤務時間や休日、専門性、成長機会)を手にできる可能性があります。さらに、常勤化を目指したり、ダブルライセンスや副業によってスキルや収入の幅を広げることで、「暮らしていける年収」に近づける道もあります。
これからSSWの働き方を考えるあなたにとって重要なのは、「給料が低い」というイメージだけで判断するのではなく、自分の生活費・希望働き方・将来のキャリア像を重ねて考えることです。


