「社会福祉士は簡単すぎる」——SNSやネットでそんな声を目にしたことはありませんか?一方で、「19科目の広範な範囲があって難しい」という意見も根強くあります。
実際のところ、どちらが正しいのでしょうか。本記事では、第38回(2026年2月実施)の最新合格率データ・他資格との難易度比較・試験の構造的な特徴をもとに、「難しいのか、簡単なのか」を多角的に掘り下げます。これから受験を考えている方の参考になれば幸いです。
この記事でわかること
- 第38回(2026年)最新の合格率・合格基準点
- 過去6年間の合格率推移と難易度の変化
- 社会福祉士が「難しい」といわれる4つの理由
- 他の福祉系資格との難易度比較(介護福祉士・精神保健福祉士など)
- 「簡単すぎる」と感じる人の背景と理由
- 必要な勉強時間と効率的な合格戦略
- よくある疑問(FAQ)
社会福祉士の難易度は?第38回の合格率と合格基準点

2026年(第38回)の社会福祉士国家試験の合格率は60.7%でした。受験者数は25,430人、合格者数は15,438人でした。
第38回(2026年)試験の概要
試験日:2026年2月1日(日)/合格発表:2026年3月3日(火)
受験者数:25,430人 合格者数:15,438人 合格率:60.7%
合格基準点:50点(129点満点)/正答率約38.8%
第38回(2026年度実施)の社会福祉士国家試験の合格基準点は50点でした。
合格基準は129点満点(全129問/1問1点)の60%程度とされており、問題の難易度で補正を行い、合格には50点以上の得点が必要となりました。
合格基準点の仕組みに注意
合格基準は「総得点の60%程度」を基準に毎年難易度で補正されます。
第38回では50点(正答率約38.8%)と補正後の基準点が低くなりましたが、これは試験が高難度だったことの裏返しでもあります。単純に「50点取れば受かる」とは考えず、幅広い科目での着実な得点を目指すことが重要です。
過去6年間の合格率推移
| 回次 | 実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第33回 | 2021年2月 | 41,639人 | 12,633人 | 29.3% | 旧カリキュラム |
| 第34回 | 2022年2月 | 41,124人 | 12,946人 | 31.1% | 旧カリキュラム |
| 第35回 | 2023年2月 | 42,016人 | 12,803人 | 30.5% | 旧カリキュラム |
| 第36回 | 2024年2月 | 34,539人 | 20,050人 | 58.1% | 旧カリキュラム最終回 |
| 第37回 | 2025年2月 | 27,616人 | 15,561人 | 56.3% | 新カリキュラム初年度 |
| 第38回 | 2026年2月 | 25,430人 | 15,438人 | 60.7% | 新カリキュラム2年目 |
旧カリキュラム時代(第33〜35回)は合格率30%前後が続いていましたが、第36回以降に急上昇しました。
新カリキュラムになった第37回でも56.3%と非常に高い合格率だったため、カリキュラム変更とは関係なく、社会福祉士の合格率は上昇傾向にあります。
ただし、問題数の減少(150問→129問)と合格基準点の補正が大きく影響しており、合格率の上昇がそのまま「試験が易しくなった」を意味するわけではありません。

社会福祉士の難易度が高いといわれる4つの理由

合格率が上昇しているにもかかわらず、社会福祉士は依然として「難しい」と言われています。その理由を4つに整理します。
① 出題科目数が福祉系資格で最多
出題科目は18科目もあり、福祉系資格のなかで最も多い科目数となっています。
他資格と比較すると、介護福祉士が11科目、精神保健福祉士は16科目なので、社会福祉士試験の科目数の多さがわかるでしょう。
| 資格 | 出題科目数 | 問題数 | 試験時間 |
|---|---|---|---|
| 社会福祉士 | 19科目 | 129問 | 225分 |
| 精神保健福祉士 | 16科目 | 約125問 | 約210分 |
| 介護福祉士 | 11科目 | 125問 | 220分 |
| ケアマネジャー | 5分野 | 60問 | 120分 |
② 全科目群で1点以上が必要(足切りルール)
社会福祉士試験には「科目群0点足切り」という独自ルールがあります。18科目群すべてで1点以上獲得しなければならず、特定の科目に絞った勉強で合格を目指すのは難しい状況です。
満遍なく全科目について勉強しておかなければならないというのが、社会福祉士国家試験の難しい点になります。
得意科目で稼いで苦手をカバーする戦術が通用しない、という点で難易度が高まっています。
③ 必要な勉強時間が他資格より長い
社会福祉士の合格に必要な勉強時間は約300時間とされており、介護福祉士、精神保健福祉士よりも必要な勉強時間が多く、難しいと言えるでしょう。
社会人として働きながら300時間を確保するには、毎日1〜2時間の学習を半年〜1年間継続する計画性が求められます。
④ 法律・制度改正への継続的な知識更新が必要
各種法律・制度の改正があった場合は、知識のアップデートが必要です。あらゆる福祉制度は法律に則って実施されており、実態やニーズに合わせて随時改正が行われます。
受験生は法・制度改正についても目を配っておき、必要に応じて知識をアップデートしなければなりません。

社会福祉士と他の福祉系資格との難易度を比較
社会福祉士の難易度は、他の福祉系資格と比較するとより鮮明になります。合格率・科目数・勉強時間の3軸で整理しました。
合格率による難易度の比較
| 資格 | 直近合格率 | 科目数 | 勉強時間の目安 | 難易度評価 |
|---|---|---|---|---|
| 社会福祉士 | 60.7%(第38回) | 19科目 | 約300時間 | |
| 精神保健福祉士 | 約67%前後 | 16科目 | 約200〜250時間 | |
| 介護福祉士 | 70.1%(第38回) | 11科目 | 約150〜200時間 | |
| ケアマネジャー | 約20%前後 | 5分野 | 約200〜300時間 |
2023〜2025年の介護福祉士国家試験の合格率は80%前後、精神保健福祉士国家試験の合格率は70%前後となっており、これらの資格と比べると、社会福祉士国家試験は合格率は低い水準で推移していました。
合格率だけで見ると、社会福祉士は3資格の中で最も低く、難易度が高いといえます。ただし、ケアマネジャー(合格率約20%)と比べると取得しやすい水準です。
社会福祉士が「簡単」と感じた人の背景と理由

一方で、確かに「簡単だった」と感じる人も一定数います。それはどのような背景を持つ人なのでしょうか。
「簡単」と感じやすい人
- 福祉系学部・専門学校出身で学習内容が試験範囲と直結している
- 精神保健福祉士など他の国家資格をすでに取得している
- 介護福祉士として現場経験が豊富で制度への理解が深い
- 20代・学生で学習習慣があり、専業で試験対策できた
- 過去問中心で効率的に対策できた
「難しい」と感じやすい人
- 異業種・一般大学出身で福祉の基礎知識がゼロから
- 仕事・子育てとの両立で勉強時間の確保が困難
- 苦手科目への対策が手薄になり足切りに引っかかった
- 新カリキュラム2年目で出題の傾向が変化している
- 法改正情報の収集が追いつかなかった
他資格保有者が感じる「相対的な簡単さ」
| 保有資格 | 社会福祉士試験への影響 |
|---|---|
| 精神保健福祉士 | 共通科目が免除(専門科目のみ受験可)。負担が大幅軽減。 |
| 看護師 | 医学概論・医療分野の問題で知識が生きる。 |
| 介護福祉士 | 高齢者福祉・介護保険制度の問題で強みを発揮。実習60時間免除(新制度)。 |
福祉系学部出身者が有利な理由
- 授業カリキュラムと試験科目が大部分重複している
- 実習・演習で実践的な理解が試験知識の定着を助ける
- 同級生・教員との情報共有で対策ノウハウが共有されやすい
- 学習習慣が維持されており、継続した学習がしやすい
難易度の感じ方はバックグラウンド次第
「簡単すぎる」という声は主に有利な条件が重なった人から出てくることが多く、一般的な難易度を示しているわけではありません。第38回で合格率60.7%といっても、受験者全員がすでに福祉系の専門教育を受けた上での数字です。
一般人が突然受けてなんとなく受かるような試験ではありません。
社会福祉士「第38回試験」の難易度の傾向
第38回社会福祉士国家試験は、昨年度に続き「ソーシャルワークの見方・考え方」を前提に正答へ到達させる設計がより鮮明となり、一般教養科目を含め”常識的な知識だけでは解けない”問題が大幅に増えました。
初見語句や五肢二択の増加により難しく見える一方で、選択肢の構成は精緻で、ソーシャルワークの理念や原理に立ち返れば正答に至れる良質な問題も多くありました。
新カリキュラム2年目の変化ポイント
単純な知識の丸暗記では対応しにくく、ソーシャルワークの理念・原理の理解を前提とした応用問題が増加しています。過去問の解き方の訓練に加えて、制度の背景や支援の考え方への理解を深めることが第39回以降も重要です。

社会福祉士合格のための勉強時間と戦略
社会福祉士国家試験の受験勉強に必要とされる時間数は、300時間程度といわれています。例えば1日3時間、毎日休まずに勉強するならば、1ヶ月あたりの勉強時間は90時間になります。
この場合、3ヶ月ちょっとで300時間を達成できる計算です。
バックグラウンド別の勉強時間の目安
| 背景・前提条件 | 勉強時間の目安 | 開始の目安 |
|---|---|---|
| 福祉系学部の現役学生 | 100〜150時間 | 試験3〜4か月前 |
| 精神保健福祉士・介護福祉士の有資格者 | 150〜200時間 | 試験4〜5か月前 |
| 福祉系職種の実務経験者(資格なし) | 200〜250時間 | 試験5〜6か月前 |
| 異業種・初学者(一般養成施設経由) | 300時間以上 | 試験7〜10か月前 |
| 社会人(仕事・育児との両立) | 300〜500時間(期間を長く) | 試験1年前〜 |
段階別の合格までのながれ
テキストで19科目全体を一読。新カリキュラムの科目構成を把握し、苦手科目を早期に特定する。
中央法規・ユーキャンなどの参考書を活用し、苦手科目から優先的に知識を整理。法改正情報も随時チェック。
最低3年分の過去問を繰り返し解く。間違えた問題には必ず解説を読み込み、理解を確認する。
模擬試験で本番に近い状態を体験。弱点科目を中心に補強し、時間配分のペース感覚をつかむ。
合格率上昇でも「苦手科目ゼロ」が鉄則
社会福祉士の試験において、不得意科目を放っておくことはおすすめできません。「1科目でも0点があれば、その時点で不合格」となる決まりがあるからです。どんなに苦手な科目でも放置はせず、ある程度の得点がとれるように勉強しておくことが大切です。
社会福祉士の難易度に関してよくある質問(FAQ)
合格率が60%を超えているのに、なぜ難しいといわれるの?
受験者全員がすでに福祉系の学校や養成施設で専門教育を受けた上での60.7%です。
一般の方が勉強なしで受けられる試験ではなく、19科目の広範な知識と「全科目群得点」の条件がある点で、依然として高い難易度が維持されています。
独学で合格できますか?
受験資格さえあれば独学での合格は可能です。
ただし300時間程度の学習が必要で、スケジュール管理と法改正情報の収集が課題になります。初学者や社会人は、通信講座の活用も選択肢のひとつです。
第38回の合格基準点が50点と低いのはなぜ?
試験の難易度に応じて合格基準点は毎年補正されます。
第38回は問題が難化したと評価されており、難易度補正により基準点が下がった結果です。「50点でいい」ではなく、「難しい試験でも受かるように準備する」という姿勢が重要です。
介護福祉士と社会福祉士、どちらが難しい?
科目数・勉強時間・合格率の3軸すべてで社会福祉士の方が難しいといえます。
介護福祉士は11科目・合格率70%程度であるのに対し、社会福祉士は19科目・合格率60.7%(近年)で、必要な勉強時間も約1.5〜2倍です。
働きながらでも合格できますか?
可能です。ただし300時間以上の学習が必要なため、毎日の通勤時間や昼休みのスキマ時間を活用した継続的な学習計画が不可欠です。
試験7〜10か月前からの準備開始をお勧めします。
まとめ|社会福祉士は「難しい」が、正しい準備で合格できる
「社会福祉士は簡単すぎる」という評価は、福祉系学部出身者・有資格者・十分な対策ができた人から生まれるものです。
19科目・全科目群得点必須・法改正対応という構造から見ると、客観的には福祉系資格の中で最も高い難易度に位置します。
一方、第38回(2026年)合格率60.7%が示す通り、しっかり準備した受験者の6割が合格しているのも事実。「ハードルは高いが、越えられない壁ではない」のが社会福祉士試験の本質です。
自分のバックグラウンドを把握したうえで、300時間程度の計画的な学習・全科目均等な対策・新カリキュラムへの対応を意識して臨めば、合格への道は確実に開けます。


