精神保健福祉士として働く中で、「もう限界かもしれない」「自分に向いていない気がする」と感じた経験はありませんか?
日々の業務で心身ともに疲れ果て、辞めるかどうかの判断に迷うことは珍しくありません。とくに支援職である精神保健福祉士は、他人の課題や感情を受け止める一方で、自分自身の気持ちを後回しにしてしまいがちです。
そこで本記事では、辞めたいと感じる理由から、「やめとけ」と言われる背景、給与や合格率の実情、将来性やキャリアの考え方まで、まとめてお伝えします。
給与データは、公益財団法人社会福祉振興・試験センター「令和2年度精神保健福祉士就労状況調査」をもとにしています。
精神保健福祉士をやめたいと感じる理由

精神保健福祉士の仕事は、やりがいや使命感がある一方で、ストレスを抱えやすい職種でもあります。「もう続けられないかもしれない」と感じる人は少なくありません。
精神的・身体的な限界
感情労働が中心となる精神保健福祉士の業務では、心と体に大きな負荷がかかります。以下のような状況に当てはまる場合は、無理をしているサインかもしれません。
- クライアント対応が終わっても気持ちが切り替えられない
- 朝起きるのがつらく、出勤前から強いストレスを感じる
- 頭痛・不眠・食欲不振などの体調不良が続いている
こうした状態が長引くと、バーンアウト(燃え尽き症候群)につながることもあります。早めに休む・相談するなど、自分を守ることを優先してください。
職場の人間関係や業務環境
人間関係や職場体制の問題も、離職につながりやすい要因です。
| 悩みの内容 | 起きやすい問題 |
|---|---|
| 上司・同僚とのコミュニケーション不足 | 相談しづらく孤立しやすい |
| チーム連携の欠如 | 責任や業務負担の偏りが生まれる |
| 業務の方針や手順が不明確 | 対応のたびに迷いが生じ、疲弊する |
収入・キャリアへの不安
国家資格でありながら、給与やキャリアの見通しに不満を感じる人は多いです。給与の実態については後の「給与データ」の項目で詳しく紹介します。
- 初任給が低い(大卒正規職員で月額17〜20万円程度が目安)
- 昇進・専門性アップのルートが限られている
- 年齢を重ねると体力面で不安が増す
やりがいの喪失・向き不向きへの迷い
仕事のやりがいを感じられなくなったり、自分の適性に疑問を持ち始めることも、辞めたい気持ちを後押しします。
| 感じている事 | 背景 |
|---|---|
| 「誰の役に立っているのか分からない」 | 業務が事務的になり、支援している実感が薄れている |
| 「自分には向いていないかも」 | 感情を受け止めることへの疲れ、性格との不一致 |
| 「他の道を考えてみたい」 | 今の職場以外に可能性を感じ始めている |
やりがいを失ったからといって、自分を責める必要はありません。環境や状況が変わることで、また違う見え方になることもあります。

「精神保健福祉士はやめとけ」と言われる4つの理由

ネットや知人から「やめとけ」という声を聞くことがあります。その声をまとめました。
理由①:給与が他の職種より低め
社会福祉振興・試験センターの令和2年度調査によると、精神保健福祉士の平均年収は404万円です。
業務の負担の重さを考えると割に合わないと感じる人もいますが、2015年の調査(347万円)から57万円増えており、少しずつ改善されてきています。
理由②:資格がなくても同じ仕事ができる
精神保健福祉士は「名称独占資格」で、相談援助や支援の業務自体は資格がなくてもできます。
そのため「取得するメリットが薄い」という意見があります。ただ、医療機関・行政・司法の分野では資格の有無が採用や給与に影響することが多く、持っていて損はありません。
理由③:感情的な消耗が大きい
精神疾患を持つクライアントとの関わりは、専門的な難しさと感情面の負担を伴います。
支援がうまくいかないときの無力感や、クライアントから強い言葉を向けられることもあります。職場にスーパービジョンの仕組みがあるかどうかが、長く働けるかどうかに大きく影響します。
理由④:キャリアアップのイメージが描きにくい
管理職のポストが少なかったり、昇格の仕組みが不明確な職場も多いです。
ただ、社会福祉士とのダブルライセンス・行政機関への転職・学校や企業での活躍など、選択肢は以前より広がっています。

精神保健福祉士の基本データ
本見出しのデータは、公益財団法人社会福祉振興・試験センターおよび厚生労働省の公表資料をもとにしています。
国家試験合格率の推移(直近5年)
精神保健福祉士の国家試験は毎年2月に実施され、合格発表は3月です。合格率は近年70%前後で安定しており、同じ福祉系の社会福祉士(例年30〜40%台)と比べると合格しやすい資格です。
| 試験回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第23回(2021年2月) | 6,165人 | 3,955人 | 64.2% |
| 第24回(2022年2月) | 6,502人 | 4,267人 | 65.6% |
| 第25回(2023年2月) | 7,024人 | 4,996人 | 71.1% |
| 第26回(2024年2月) | 6,978人 | 4,911人 | 70.4% |
| 第27回(2025年2月) | 6,642人 | 4,694人 | 70.7% |
出典:厚生労働省「第27回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します」(令和7年3月4日)
※ 第27回(2025年)から試験カリキュラムが変わり、出題数が163問→132問になりました。
※ 第28回(2026年2月実施)は合格発表が2026年3月のため、現時点では未公表です。
登録者数
2024年1月末時点
103,917人
第26回合格結果より
2025年1月末時点
108,748人
第27回合格結果より
1年間の増加数
+4,831人
増加中
出典:厚生労働省「第26回・第27回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表します」
平均年収はいくら?
公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施した「令和2年度精神保健福祉士就労状況調査」によると、精神保健福祉士の全体の平均年収は404万円です。
全体平均年収
404万円
令和2年度調査
平均月給(目安)
約28万円
手当込みの目安
平均ボーナス(目安)
約70万円
年2回支給が一般的
性別・年代別の平均年収
男女別では男性が463万円、女性が377万円です。年代別では50代がピークで、60代以降は正規雇用から非正規に移行するケースが増えるため、平均が下がる傾向があります。
| 年代 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
|---|---|---|
| 20代 | 325万円 | 311万円 |
| 30代 | 420万円 | 351万円 |
| 40代 | 492万円 | 399万円 |
| 50代(ピーク) | 541万円 | 451万円 |
| 60代以上 | 407万円 | 321万円 |
| 全体平均 | 463万円 | 377万円 |
職場別の年収相場|どこで働くかで収入が大きく変わる
職場・分野によって年収に大きな差があります。最も高い「司法関係」が521万円、最も低い「学校教育関係」が315万円と、200万円以上の開きがあります。
| 勤務先 | 平均年収 | 特徴 |
|---|---|---|
| 司法関係 (保護観察所・刑務所等) | 521万円 | 国家公務員待遇・専門性が高い・採用枠は少ない |
| 行政機関 (保健所) | 485万円 | 地方公務員規定・安定した昇給・手当が充実 |
| 医療機関 (大規模精神科病院) | 430万円 | 安定した昇給・夜勤手当が加算されることも |
| 全体平均 | 404万円 | 令和2年度就労状況調査 |
| 福祉施設 (障害者支援施設等) | 390万円 | 施設の規模・運営主体によって差がある |
| 医療機関 (小規模クリニック) | 380万円 | 規模が小さいほど低くなる傾向 |
| 学校教育関係 (SSW等) | 315万円 | 非常勤・時給制が多い |
出典:公益財団法人社会福祉振興・試験センター
「令和2年度精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書」
資格手当がある職場は約35%
同調査によると、資格手当がある職場は約34.8%、ない職場は約64.0%です。
| 資格手当の有無 | 割合 |
|---|---|
| あり | 約34.8% |
| なし | 約64.0% |
ボーナス・初任給の目安
| 給与 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 平均ボーナス(年間) | 約60〜80万円 | 年2回支給が一般的。公務員は安定しやすい |
| 大卒正規職員の初任給 | 月額17〜20万円程度 | 施設・地域によって異なる |
| 月給(経験年数5〜10年) | 月額23〜28万円程度 | 手当込みの目安 |
| 時給(パート・非常勤) | 約1,300〜1,500円 | 地域差あり |

精神保健福祉士の将来性
「やめとけ」という声がある一方で、この仕事の需要は着実に増えています。
精神疾患の患者数は増え続けている
2017年(患者調査)
419万人
厚生労働省
2020年(患者調査)
614万人
令和5年版障害者白書
3年間の増加
+195万人
需要は拡大傾向
出典:内閣府「令和5年版障害者白書」(厚生労働省患者調査2020年データより)
※ 2021年以降の患者調査は現時点で未公表のため、2020年のデータが最新です。
精神疾患は国の5大疾病のひとつ
2013年度の第6次医療計画から、精神疾患はがん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病と並ぶ「5大疾病」に位置づけられています。
保健所や精神保健福祉センター、医療機関への施策も強化されており、精神保健福祉士の活躍の場は広がっています。
まだ人が足りていない
2025年1月末時点の登録者数は約10万8,748人。
社会福祉士(約27万人超)や介護福祉士(約180万人超)と比べると少なく、患者数の増加に対して担い手が不足している状況が続いています。
精神保健福祉士におすすめの転職先

サクラサービスとは、介護保険に関わる福祉用具レンタル事業を中心に展開する会社です。「少子高齢化」「介護保険制度」を背景に、創業以来安定した成長を遂げており、毎年多くの新卒社員も入社を決めています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 年間売上 | 30億円 |
| 社員数 | 291名 |
| 育休取得率 | 100% |
| 有給取得率 | 79% |
| 新卒初任給 | 月給 340,875円~ (経験によって優遇あり) |
転職を考えている方はもちろん、ジョブチェンジへの挑戦や福祉用具専門相談員などの専門資格をお持ちの方も大歓迎です!業界のなかでは給与水準も高く、毎年成長し続けております。
さらに、福祉関連の各資格においた手当もあるため、是非ご応募ください!

精神保健福祉士をやめたい方からよくいただく質問
精神保健福祉士の初任給はどのくらいですか?
大卒正規職員の場合、月額17〜20万円程度が一般的な水準です(令和2年度就労状況調査)。
その後、経験年数とともに着実に上昇し、勤続5年以上では月23〜28万円程度が目安となります。公務員や大規模医療機関では初任給も高めに設定されている傾向があります。
精神保健福祉士の年収はこれから上がりますか?
増加傾向にあります。公式データでは2015年度347万円→2020年度404万円と57万円増加しています。
精神疾患患者の増加・5大疾病への指定・職域の拡大など、給与水準が改善される環境が整いつつあります。
国家試験の合格率はどのくらいですか?
直近5年(2021〜2025年)は64.2〜71.1%で推移しています。
最新の第27回(2025年2月実施)は70.7%でした(出典:厚生労働省)。同じ福祉系の社会福祉士(例年30〜40%台)と比べると合格しやすい資格です。
精神保健福祉士の年収が低い職場の見分け方は?
学校教育関係(非常勤SSWなど)・小規模民間福祉施設・NPO法人運営の事業所は年収が低い傾向があります。
求人票では基本給の金額・昇給実績・賞与の有無と実績・各種手当の内訳を必ず確認しましょう。面接時に前年度の実際の賞与額を確認することもお勧めします。
辞めてしまう前にできることはありますか?
配置転換・休職制度の利用・スーパービジョンの活用などを試みてから判断することをお勧めします。
まとめ
精神保健福祉士の平均年収は404万円(令和2年度調査)ですが、職場によって315万円〜521万円と大きな幅があります。
年収を上げるために最も効果的な方法は、行政機関への転職・管理職への昇格・社会福祉士とのダブルライセンス取得・大規模医療機関への転職の4つです。
「やめとけ」と言われる背景には給与水準・感情労働の負担・キャリアパスの見えにくさという実態があります。一方で、国家試験合格率は直近5年間で70%前後を維持しており(第27回:70.7%)、登録者数は年4,000〜5,000人規模で増加し、精神疾患患者の増加に伴う需要拡大が続いています。


